最初に言っておきますが、当て逃げをしたのは私ではありません。
子どものスクールバスのドライバーです。
最初タイトルは「当て逃げした話」でしたが、釣りっぽくなるので改めました。
日本でスクールバスのドライバーというと、安全運転の権化みたいなイメージかもしれません。
が、マレーシアでは、運転技術はかなりのものだけどラフ(荒い)、というのがデフォではないでしょうか。
ドライバーはアンクルと、呼ばれています。これは日本語でいう「おっさん」みたいな意味です。もちろん親戚のおっさんも含みます。おばちゃんはアンティと呼ばれます。たぶんアント(aunt)がマングリッシュになったでしょうかね。
アンクルはF1のピットイン入りみたいな感じで車をつけてきます。
つまり、あまり減速せずに生徒が待っているところにバン(スクールバスはミニバンが多い)を突っ込んでくる感じです。
どこのスクールバスのドライバーもこんな感じだと思います。
子どもが言うには、危険そうに見えてかなりの運転技術がある、とのこと。
ある日のこと、いつものように子どもがバンに乗り込んでボーっとしていたら、アンクルがかなりのスピードで右折をしたそうです。
右折路にはいつもおびただしい数の車が路駐しています。私もそこはよく通る道なので知っています。
ふだんは車内ですぐにうたた寝をしてしまうのだそうですが、その日はたまたまボーっと前をみていたそうです。
減速せずに右折するアンクル。
すぐそこには路駐の車。
子どもは「さすがアンクル、いつものようにギリギリでかわしてすり抜けるんだな」と思った瞬間
ボン!
という音とともに車に衝撃が伝わってきたそうです。
そうです。
さすがのアンクルのドライビングテクニックをもってしても、当ててしまいました。
「オゥ」と小さくつぶやいて一瞬止まったアンクル。
と、全速力でその場を離れて、何事もなかったように学校まで行ったそうです。
微妙にざわつく車内。
一瞬目をさました高学年の子どもたちは何があったかわかっていますが、アンクルがスルーしたのでそのまま寝てしまったそうです。
ザ・当て逃げ
以来、アンクルはたとえ信号が緑だろうが、どんなに空いていようが、2度とその道を通らなくなったそうです。
しばらくは慎重に運転していたそうですが、最近になってまた本来の調子を取り戻しているらしいです。
前にいた学校のスクールバスは後輪がパンクしているのに気付かず走っていて、旦那がUターンした車を追いかけて伝えたこともあります。
マレーシア生活も長くなると、その話を子どもがふつうにして、親がふつうに聞くという。
いや、さすがにふつうの話じゃ、ない?